ヤマトタマムシ

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タマムシ(玉虫、吉丁虫)は、コウチュウ目タマムシ上科(Buprestoidea)に属する昆虫の総称で、日本の代表的な種 Chrysochroa fulgidissima の和名です。
一般的にタマムシと言うとヤマトタマムシ( Chrysochroa fulgidissima )を指します。

分布は本州、四国、九州になります。
北海道には生息していません。

細長い米型の甲虫で、全体に緑色の金属光沢があり、背中に虹のような赤と緑の縦じまが入ります。
天敵の鳥は、「色が変わる物」を怖がる性質があり、この金属光沢が鳥を寄せ付けないとされています。
この上翅(鞘翅)は構造色によって金属光沢を発しています。
死後も色あせることがないので古来より珍重され装身具に加工されています。
法隆寺宝物「玉虫厨子」の装飾としてタマムシが使われているのは有名です。

「玉虫色」とよく言われるのは、見る角度で色が変わるタマムシが「どのようにも解釈ができ、はっきりとしないもの」として例えられた言葉です。
日本には「タマムシを箪笥に入れておくと着物が増える」という俗信もあります。

上翅と下翅のサイズ、面積が大きく違わず、翅を閉じる際には下翅を折りたたむことなく上翅の下に収納します。
下翅を展開する必要がない分だけ、翅を開いてから飛び立つまでに要する時間が短いです。

成虫は6~9月にかけて出現します。
盛夏の日中、特に日差しの強い日によく活動し、成虫の餌であるエノキやケヤキなどニレ科広葉樹林を飛びます。
警戒心が強く動きは機敏ですが人間が2m位に近づくとぴたりと動きを止めます。
更に近づくと飛び去ったり、茂みに落下したりして姿を消してしまいます。
羽化脱出後の成虫寿命は概ね1ヶ月に満たないとされています。

エノキやケヤキ、槇などの高所の幹をのこぎりで挽くと、その香りを求めて切り口付近によく集まり、数匹で乱舞することもあります。
一方で垣根の乾燥した竹や一本だけ突き出た枯れ枝で日光浴する個体もよく見かけられます。
エノキ等の生葉を後食しますが、卵はエノキ、槇、棗、リンゴ等の樹皮の割れ目や傷跡に生み付けられます。
幼虫は幹の奧深く楕円形の穴を幹に沿って開けて食害するため、表面からは見つけにくいです。
風雨で幹が折れたり木が倒れたりする事故の原因となり得る害虫です。

採集データ
採集日・ 2004年6月
採集地・愛知県 一宮市
撮影データ
カメラ・OLYNPUS TG-3
撮影モード・フォーカスBKT(撮影枚数30コマ・標準)、LED発光、露出補正0.0、WBオート、ISOオート、3200×2400(4:3)
画像編集ソフト・CombineZM、PaintShop Pro X8

 

 

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