アゲハチョウ

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ナミアゲハ(並揚羽、学名:Papilio xuthus)は、チョウ目アゲハチョウ科に分類されるチョウの1種です。
日本では人家の周辺でよく見られるなじみ深いチョウです。

単にアゲハ、またはアゲハチョウとも呼ばれますが、これらの呼び名は他のアゲハチョウ亜科のチョウとの混称や総称として使われることが多いです。
小学校および中学校の理科では、本種を「アゲハ」とされています。

日本では北海道から南西諸島まで全国に分布します。
日本以外にも台湾、中国、朝鮮半島、沿海地方まで分布します。
ハワイ諸島で外来種として柑橘類の害虫にもなっています。
ハワイでは唯一のアゲハチョウです。

 

成虫の前翅長は4~6cmほどで、春に発生する個体(春型)は夏に発生する個体(夏型)よりも小さくなります。
翅は黒地に黄白色の斑紋や線が多数入りさらに後翅には水色や橙色の斑紋もあり尾状突起の内側には橙色の円形の斑点があります。
この橙色の斑点は目玉模様(眼状紋)としての役割をもち鳥などから頭を守る役割があると考えられています。
外見はキアゲハによく似ていますが、ナミアゲハは翅の根もとまで黄白色の線が入り全体的に黒い部分が太いのが特徴です。

成虫が見られるのは3~10月くらいまでで、その間に2~5回発生します。
人家の周辺や草原、農耕地、伐採地など、日当たりの良い場所を速く羽ばたいてひらひらと飛び、さまざまな花から吸蜜したり、水たまりや湿地、海岸に飛来して吸水したりという姿が見かけられます。
冬は蛹で越冬します。

ナミアゲハのオスメスは腹部先端の形で区別できるますが外見からはあまり判断できません。
メスは産卵のためにミカン科植物に集まるので周囲を飛び回っている個体はメスの確率が高いです。


ナミアゲハをはじめとするアゲハチョウ属 Papilio の多くは、ミカン科植物を幼虫の食草としています。
交尾が終わったメスの成虫はミカン、カラタチ、サンショウなどのミカン科植物にやってきて、羽ばたきながら新芽に止まって腹部を曲げ、葉の上に一粒ずつ産卵します。
卵は直径1mmほどの球形をで最初は黄白色をしていますが時間が進むと黒ずんでいき孵化します。


孵化した一齢幼虫は黒褐色で体表に多くの突起がありケムシのような形をしています。
孵化した幼虫は自分が入っていた卵の殻を食べた後に食草を食べ始めます。


一齢幼虫が脱皮して二齢幼虫になると毛が少なくなりイモムシ形になり黒褐色の地に白色の帯模様が入る独特の体色に変化します。
この体色は鳥の糞に似せた保護色で敵の目をあざむいていると考えられます。
以後四齢幼虫まではこの体色のままで成長し、天敵に対抗するため頭部と胸部の間に悪臭を放つ黄色の臭角(肉角とも言う)を刺激を受けると突き出します。
4回目の脱皮をすると体長5cmほどの五齢幼虫・終齢幼虫になります。
五齢幼虫は今までの鳥の糞模様から緑色のイモムシへ変わり胸部に黒と白の目玉模様が現れて小さな緑色のヘビのような風貌になります。
五齢幼虫になると一気に成長し大きくなります。
充分成長した五齢幼虫は蛹になるための場所を探して歩き回ります。
蛹になるために緑色で水分を含んだフンをして体内の余計な水分を放出します。
適当な場所を見つけるとその面に糸の塊を吐き、向きを変えてそこに尾部をくっつけて、頭部を反らせながら胸部を固定する糸の帯を吐き体を固定し前蛹となります。
前蛹の状態で一昼夜過ごした後に脱皮して蛹になります。


蛹の期間は暖かい時期は1週間ほどですが、越冬する時は数か月ほど蛹のままで過ごします。
蛹の体内では組織の再構成が起こり成虫になるための準備が進みます。
成虫の体ができると、蛹が黒ずんで成虫の模様が透けて見えるようになります。
晴れた日の朝方に、蛹の頭部と胸部の間が割れ、成虫がはい出てきます。成虫は縮んだ翅に体液を送って伸ばし、体が固まると飛び立ちます。

採集データ
採集日・ 2003年4月28日
採集地・愛知県 一宮市
撮影データ
カメラ・OLYNPUS TG-3
撮影モード・フォーカスBKT(撮影枚数30コマ・標準)、LED発光、露出補正0.0、WBオート、ISOオート、3200×2400(4:3)
画像編集ソフト・CombineZM、PaintShop Pro X8

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