オケラ

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ケラ(螻蛄)は、バッタ目(直翅目)・キリギリス亜目・コオロギ上科・ケラ科(Gryllotalpidae)に分類される昆虫の総称です。
コオロギ類の中には地下にトンネルを掘って住居とするものがいます。
ケラは採餌行動も地中で行う特に地中での生活に特化したグループです。

日本にはその中の一種のケラ Gryllotalpa orientalis Burmeister が生息しています。
ケラと言った時にはこの一種を指すのですが、“オ”を付け“オケラ”と呼ぶことが多いです。
世界中の熱帯・温帯に多くの種類が分布しています。

ケラ科は Gryllotalpa 属、Neocurtilla 属、Scapteriscus 属の3属に分けられます。
日本のケラは Gryllotalpa 属で地中海沿岸地方からアジア、オーストラリアにかけての熱帯・温帯域に分布しています。
“Gryllotalpa”は”Gryllo”がコオロギ、”talpa”がモグラを意味しています。
Neocurtilla 属と Scapteriscus 属は南北アメリカ大陸に分布します。

成虫の体長は30mmほどですが、大型種では体長50mmほどに達するものもいます。
全身が褐色で、金色の短い毛がビロードのように密生しています。
触角や脚は短く、頭部と前胸部は卵型で、後胸部・腹部は前胸部より幅が狭く、尾端には触角と同じくらいの長さの尾毛が2本あります。

成虫には翅があります。
前翅は短く後翅は長く、オスの前翅の翅脈は複雑で鳴くための発音器官があります。
メスの翅脈は前後に平行に伸びた単純なものですがメスもわずかに発音ができます。
オスは初夏によく鳴きます。
巣穴を共鳴室として使って、地中で鳴いているにも関わらず十数メーター離れていても聞こえる大きな鳴き声が周囲に響きます。
鳴き声は「ジー……」とも「ビー……」とも聞こえる連続音です。

前脚は腿節と脛節が太く頑丈に発達し、さらに脛節に数本の突起があって、モグラの前足のような形をしています。
この前脚で土を掻き分けて土中を進みます。
頭部と胸部は楕円形の先端を形作り全身が筒状なっています。
体表面に細かい毛が密生し、汚れが付きにくく、水を弾いて水に浮き、脚で水面を掻いてかなりの速度で泳ぐ事もできます。
地中を掘り進み、水上を泳ぎ、空を飛び、地上を歩く、様々な環境に対応しており対応範囲が非常に広い昆虫です。

草原や田、畑などの土中に巣穴を掘って地中生活しています。
乾燥した硬い地面よりも、水を多く含んだ柔らかい泥地や湿地に多く認められます。
巣穴は深く掘られたねぐらとなる縦穴と地表直下を縦横に走る餌を探すための横穴でできています。
成虫幼虫ともに食性は雑食性で、植物の根や種子、他の小昆虫、ミミズなどさまざまな動植物質を食べています。
運動量、代謝量が膨大であるため、水分不足、飢餓に弱く、水分が得られないと一晩程度で死んでしまいます。

採集データ
採集日・ 2002年6月13日
採集地・愛知県 一宮市
撮影データ
カメラ・OLYNPUS TG-3
撮影モード・フォーカスBKT(撮影枚数30コマ・標準)、LED発光、露出補正0.0、WBオート、ISOオート、3200×2400(4:3)
画像編集ソフト・CombineZM、PaintShop Pro X8

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